福祉のイメージチェンジを〜当事者講演実施中〜

最近とあるトークショーで福祉の最優先事項はイメージチェンジというお話を聞き、このタイトルにしてみました。

先日、法政大学で「施設利用者の生活」というテーマで講義をしてきました。

利用者の方にも施設での生活、これからのビジョンなどを語っていただきました。

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【リエゾン笠間】
自分はリエゾン笠間という大船にある障害者支援施設で支援員をやっています。施設の特色としては医療的ケアが充実していること。看護師が 24 時間 365 日常駐していること、看護師じゃない人も医療的ケアの手技を獲得してる人が多い。

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医療的ケアが生活に溶け込んでいるとどうなのか?痰の吸引、経管栄養による食事をオンタイムで提供ができる。痰が絡んで苦しい時間が少なくて済む、食事に時間が割かれ余暇がなくなることもない。

【大桟橋で集合写真】
50 人を 20 グループに分け、出発時間と使用する駅を変えます。 JR などで 1 度に車椅子の方を誘導する人数には限りがあるからです。
ですので、時間をずらしながら、大船駅と港南台駅に分かれて出発、帰りは桜木町駅と石川町駅に分かれて帰宅。「大桟橋だったら関内駅もあるんじゃない?」と思ったあなた。ノーノー。神奈川県庁の最寄のはずの JR 関内駅にはエレベーターがないため車椅子ユーザーは JR 関内駅を利用できないのです。
次に食事。各グループでお店を予約し、バリアフリーが整っているかの確認は欠かせません。そして、食事を常食で食べる方、きざんで食べる方、ミキサーにかけて食べる方、または経管栄養でお腹に注入する方、栄養剤を滴下する方など様々です。飲食店で最初からミキサーにかけて提供してくれるお店もありますが、そうではないお店もあります。中華街の少しリッチなお店でキレイに盛り付けられたシェフこだわりの 1 品(かどうかは知りませんが)も迷わずミキサーかけます。食事前には痰吸引が必要な方もいます。お店入るとコンセントの位置を確認するのは重度障害者支援者のあるあるです。医療的ケアが日頃から溶け込んでいるからこそ、この大人数で 20 グループに分かれても臨機応変な対応が可能でした。

引きで。
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【愛雪】

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新田勲さんという脳性麻痺の方が書いた本があります。この方は 1970 年代頃に府中療育センターという施設で利用者として入所されていました。その当時の生活や自らの恋愛についてなどを記している本です。施設生活の不満、施設職員のブラックな面を当事者の立場から発信されています。以下文章を学生たちの前で読みました。

「重度障害者の立場から言わせてもらいます。確かに重度障害者施設で働く職員の方はすごく大変だと思います。また、そういう仕事をする方は、温かいお気持ちを持って、お世話してくださっています、ここらで施設で働く職員の方に考えて欲しいのは、施設のなかにどうして朝起きることから寝ることまで規則をつくるのかといえば、職員の仕事をしやすくするため以外のなにものでもありません。もし、一人の障害者が規則以外の時間に食事をとるとしたらどうなるでしょうか。それだけ職員の手を煩わし、労働荷重となってくるのです。それが一人、二人ならまだいいのですが、食事、風呂、その他全部の障害者することなすことまちまちだったら、そこで働く職員にすごく負担が生じるのは確かだと思いますが、でもそれだからといって何もかも封じた管理者の決めた日々の生活を押し付けてもいいのでしょうか。確かに団体生活のなかでは規則や規律は大切ですが、でも障害者が施設に入る状況を考えて頂きたいのです。私たちは自分から進んで施設に入るのではありません。親、兄弟、複雑な生活の苦しみを歩んで施設に閉じ込められるのです。施設しか生きる場がないからです。すなわち、私たちは施設に一生生活していく場として入るのです。」

どんなに綺麗な気持ちで仕事に取り組んでいても、業務に追われた末に利用者の前で見せてしまう表情、声の湿り、利用者間ヒエラルキーに伴う介助量の偏り。施設が現状の制度と予算で成り立ち、第 3 者の目を多分に入れない限りは愛雪の 1 節と現在の施設の本質は変わらないと思います。

 

リエゾンの利用者さんにもお話をして頂きました。この方のお話の背景が学生に伝わるように愛雪の文章を事前にお伝えしています。職員との人間関係についての悩みや、人に介助をされながら集団生活をするということは自由が少ないということ、自分の願い通りに生きることが難しいこと、福祉の勉強をしているみなさんに力になってほしいこと、などを伝えてくれました。

リエゾンは施設としての取り組みとしては面白いことをやっていると思います。けれど明るい華やかな面だけを学生に伝えるのはあまり良くないと思うのです。良いところと悪いところをしっかり伝えた上で学生たちに考えてほしいのです。福祉以外の仕事をする人も多いであろうみなさんだから尚更。みなさんが支えていく社会には少なからずこんな人もいるんだよと。各分野に散るからこそ、福祉のイメージをいい方にも悪い方にもぶっ壊してから再構築してほしいという気持ちがありました。

【学生のリアクション】
100 枚近いリアクションペーパー読ませていただきました。
学生たちは相模原で起きた凄惨な事件を受けて、障害者施設に対するイメージが迷走しているようでした。リエゾン笠間で行われるイベント、日中活動、余暇、作業、旅行、終末期への支援を知る事で明るい兆しを見出してくれた学生もいれば、施設職員としてどうあるべきかという点を人間の脆い部分からしっかり目を逸らさずに考えを書いてくれている学生もいました。「家」と「施設」の違い、「施設」と「病院」の違いについてしっかり伝わっていることが伺える文章もありました。

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【利用者自治会の目的】
リエゾンの自治会では、外部でお話をする機会を募集しています。利用者自身が講義をすることで社会との接点を持ち、自分の価値観を施設の外の世界で確認できる貴重な場と考えています。ボランティアやインターンの PR をすることで利用者と関わる人が増え、利用者の生活の質が少しでもよくなればという目的で試行錯誤の段階ではありますが動き始めたところです。自分はサポートしている立場です。ありがたいことに次回は中学校での講義依頼を受けています。是非、そのような立場にある方でもし依頼したいという方は是非ご連絡ください。

最後に、今回このような機会を設けてくださった伊藤正子先生、本当に有難うございました。

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